術後2日目
術後2日目になると水も一口しっかり飲めるようになった。
鼻はガーゼと詰め物でいっぱいになっており、横になると鼻の中を液体が動くのがわかる。
血なのか鼻水なのか不安で早く通院したかった。
家にいるのが嫌で、予定よりずっと早く家を出た。
まだまだ顔はぱんぱんに腫れておりアバターのよう。
マスクをして帽子を目深に被った。
自分で選んで整形していても顔が醜い状況というのは心が弱る。
事件で顔を傷付けられた女の子はどんな思いだろう…と思った。
診察を受けて鼻の詰め物を外してもらった。
鼻呼吸が出来て嬉しかった。
顔は通常より腫れているがこんなものだ。
1週間までが腫れのピークで1ヶ月かけてどんどん鼻筋が細くなるよ、と言われて安心した。
点滴後の痺れと痛みも治まりつつある。
ようやく髪を洗う許可が出た。
髪がベタついていて不快だった。
術後1日目
体調を崩していたためダウンタイムが辛かった。
口呼吸が大変。
喉が痛くなる、唾液を飲み込むのも辛い。
寝ていてもアイスノンを小まめに変えるのと血混じりの唾液を吐くために1時間起きに目が覚めた。
いつも寝返りが激しいはずなのにおでこのアイスノンが動いていない。
本当に動けないと寝返りも打てないのか、と感慨深かった。
8時間起きに薬を飲みひたすら寝る。
微熱も出ていて感染が心配だった。
※気休めに加湿器付き空気清浄機を買った。
喉から鼻に菌が回るのが心配だったため、1日数回うがい薬でうがいした。
心配な事があればいつでも電話するよう言われていたため一度だけ電話をした。
どこの口コミを見てもオペ後に電話対応してくれるクリニックは無かった。
アフターフォローが丁寧で、これだけこだわっているならシャドードクターの心配は無いと思った。
いつでも電話出来て急変したら夜中でも診察してくれるという安心感は大きい。
オペ後2日目に消毒で来院するまで、後何時間と指折り算ながら寝た。
オペ終了
不意に目が覚めた。
あれ?何で寝てたの?と思い息を吸おうとしても吸えない。
「はい、口で息してー」
先生の声で、手術台の上にいることを思い出した。
「今〇時。〇時間手術してたからね」
全身麻酔はすごい、全く覚えていない。
痛みも喉の痛みと鼻の固定感のみ。
身体がフラフラして動けない。
手術台の上で呼吸が安定するまで30分程横になっていた。
とても寝心地が悪い。麻酔のせいだろうか気分も悪い。
早く時間が過ぎないか時計をちらちら見ていた。尿カテを外すのも痛かった。
その後、全身麻酔が抜けるまで別室で横になった。
半日も手術台で固定されていたため、脹脛はつる手前の状態で肩も違和感がある、皮膚が弱いためかかとは床擦れを起こしていた。
手の甲の点滴も痛い。顔もだんだん痛くなってきた。鼻は詰め物で圧迫して止血しており口呼吸しか出来ない。辛い。
点滴がなかなか終わらない。
あれが無くなれば帰れる、楽になれると思ったが実際は状態が回復しないと帰れないのだから正常な判断は出来ていない。
出血が治らないため何回も止血剤と輸液が追加された。
腰に注射すると聞いた時、筋肉注射や髄膜の検査を思い出してあからさまに嫌がってしまった。
先生はすぐ察して「筋肉注射じゃないから大丈夫だよ」と答えてくれた。
数時間寝転びながら、どうなるかな、悔いはない、生まれつき綺麗な子はこんな痛みいらないんだなと思った。
看護師さんが「(予約いっぱいだったから)このシーズンにオペになっちゃったね」と言うので
『これは自分へのプレゼントです。(抜糸が年末の予定で)来年から新しいが遅く楽しみ』とへらっと答えた。
先生が「そう言ってもらえると僕としても良かったよ。ずっと悩んで来たもんね」と笑った。
ブログからも伝わるかと思うが、カウンセリングの時も私は淡々と相談していた。
それでも伝わっていたんだな、と思った。
その後トイレに行くと尿カテの影響でとても痛かった。膀胱炎にはなりたくないな、と思った。
水を飲むよう指示され飲もうとするが、口は開かないわ、鼻が塞がっていると飲み込めないわで大変だった。
一口の1/3ほどの水を飲みこむのすらやっとだった。
通常より回復に時間がかかり夜中までクリニックに滞在させてもらい、タクシーで帰宅することになった。
信号待ち中、カフェでクリスマスを楽しむカップルを見て別世界のように感じた。
帰宅後、感染予防の薬など渡されたものを飲んだ。
いつも10錠位さらっと飲めるのに、水を飲むのすらやっと。
10分以上かけてようやく飲めた。
おじいちゃんが1つずつ薬を飲んでいた感覚がよくわかった。
回復させるためには寝るしかない。
想像より心身ともに疲れた。
オペ当日
オペ前日、全く寝付け無かった。
眠いが目は冴えている。楽しみにしていても緊張しているようだった。
オペ後の着替えがしやすいよう前開きの洋服を着た。
※ジャージとスニーカー位楽な服装をおすすめする。全身麻酔で脚も浮腫むため、デニムはやめた方がいい。
水も飲めない時間になり家にいても仕方ないと思いはやく家を出た。
30分も前に着いてしまった。
オペ前に、最後のカウンセリングを受けた。
イメージの確認と手法のメリットデメリットを再度説明してくれた。
今回、自前の鼻の軟骨を使い鼻を整える方法を選んだがこの方法は元々の鼻の軟骨が小さいと耳の軟骨を使う事になる。
高さも皮膚が伸びる限界までしか出せない。
鼻の軟骨と耳の軟骨を使いたいが、鼻が使えなければ両耳から採取することになった。
予め両耳から取れる鼻の大きさをはかり、十分なサイズが取れる耳を選んだ。
もし耳が小さければ次は肋骨を使う所だった。
整形は元々持つ自分の素材次第で制約が多い。
プロテーゼの高さを2種類用意してあり、オペ中に様子を見て決めさせて欲しいと言われた。先生を信用しているためお任せすると答えた。
術後の話も大まかに聞きトータル30分近くかけてくれた。
どこまでも丁寧な先生だ。
術前の顔写真を撮影した。
今回、私は術前の顔を自分では撮影しなかった。しようとすら思わなかった。
新しい顔になるのに、今の顔の記録はいらない。卑屈な気持ちは一切なく平静にそう思った。
本の新装版が出るから、旧版はいらない位の感覚だ。
撮影しながら先生が
「目が素敵だから、鼻の手術をしたらグッと映えるよ。こんなこと患者さんに言っちゃいけないけどね笑」と笑った。
正直な所がますます信用出来る。
私が整形を繰り返すタイプではない、精神的な病気が無いと先生も把握しているため
主観だと前置きして意見を言ってくれる。
「マスクしてると美人だとよく褒められます笑 鼻治すの楽しみです」と返すと先生は笑っていた。
その後、オペの準備に入った。
手術着に着替え、全身麻酔のために手の甲に点滴を打った。
いくつも薬を注入し、中には血管が痺れる薬もあった。
少しドキドキしたが、スポーツ心臓のため脈も血圧も低い。
「緊張してないの?!」と先生に驚かれたが麻酔科医が「若い子にいるよね〜」とのんびり答えていた。
看護師さんに髪の毛をまとめてもらう時、子供の時以来だなと思った途端に涙が出た。
不思議な心細さだった。
これまでの人生が不意に過ぎり、彼氏がいたら整形に至らなかったかな、自信があればこうはならなかったのかなと悲しくなった。
看護師さんが「泣かないで〜いざとなると緊張しちゃうよね〜😢先生上手だから安心してね」と頭を撫でてくれた。
これからの未来を変えるために受けるんだからね、とマイナス思考を宥めた。
細かな不安(将来的なリスク等)はあれど整形することそのものに不安は感じなかったがそれでも直前には緊張するのだ。
しばらくするとオペ室に移動した。
靴を履き替える瞬間がなぜか印象に残っている。
手術台に横たわると心電図モニターが付けられ、すぐにアラートが鳴り出した。
脈が遅いからだ。ドラマの一場面のようだった。
手術の準備が整うと酸素マスクをつけられ苦い臭いがした。
意識が遠のくまで体感3秒、手術が終われば変われる、いよいよだと思いながら眠った。
オペまで
夏にカウンセリングしてからオペまで約半年、現実味は無かった。
秋にスケジュール確定と打ち合わせで再訪。
再度方向性と手術前の注意点を確認。
鼻のイメージを細かく伝えた。
・アバターは嫌
・元々の顔に合わせて違和感の無い範囲でバランス良く綺麗な形にして欲しい
・アップノーズは嫌、出来れば下がり気味がいい
・小鼻を目立たなくしたい、丸い鼻先が嫌だ
後は女優さんの写真をいくつか用意した。
※笑うと鼻の形が変わるため、出来るだけ無表情で正面と横、斜めの角度の写真があると良い
オペ前日は〇〇時以降食事NG、風邪等の体調不良で延期の場合は前金のみお支払い等と細かな話をした。
今回、鼻を複数の手法で整えるプランで約130万円。
人生で一番高い買い物になった。
前金もそれなりで、カード利用可能額を超えてしまい慌てた。
複数枚での支払い可能だったため事無きを得た。
※支払い可能額の確認をしていきましょう
もう後戻りできないと思うと共に
あれだけ悩んで来たけどカウンセリング行って予約してよく決断したね!えらい!と自分を褒めた。
12月に入り、もうすぐ整形♡とうきうきした。
嫌なことがあっても整形が待ってると思えば頑張れた。
しかし2ヶ月前からオペ直前までずっと体調が悪く、治すために何度も内科や耳鼻科に通うが治らない。
オペしてもらえるか不安なまま当日を迎えた。
※今思えば、事前に担当医にオペ受けられるか相談すれば余計な心配をしなかっただろう。